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”ふつう”の「ふるさと納税」じゃない。「ひがしかわ株主制度」と、繋がりを大切にするまちの想い

東川町の特徴的な取り組みに、「『写真の町』ひがしかわ株主制度」というものがあります。

これは、東川独自の「ふるさと納税」の呼び方なのですが、東川町がなぜ、「ふるさと納税」を「ひがしかわ株主制度」と呼んでいるかについて、「東川町のキホン」の記事に簡単に書きました。

この記事では、「ひがしかわ株主制度って、結局何なのよ?」というところを、もう少し丁寧に書いていきたいと思います。

ひがしかわ株主制度って何?「ふるさと納税」とどう違うの?

ひがしかわ株主制度は、先にも書きましたが、分かりやすく言うと「東川町独自の”ふるさと納税”の呼称」です。ふるさと納税制度を、東川町では「株主制度」と位置付けているということ。町内で生産されている米や家具を中心に「返礼品」として届きますし、税額控除も受けられる。そこは何も変わりません。基本は「ふるさと納税」です。

じゃあ、何が違うのか…?ひとつひとつ説明していきますね。

①まず、いろんな仕組みの「呼び方」が違う

大前提として、ふるさと納税の言葉を、全部変換しています。

ふるさと納税=ひがしかわ株主制度
寄附者=株主
寄附=投資
返礼品=株主優待

意味は同じなのですが、呼び方を変えています。役場のなかでは、どの課も共通で寄附者を「株主」や「株主さん」と呼んでいます。

ほかにも、
・「配当」という考え方があったり
・年に1回の「株主総会」があったり
・「株主証」を発行していたり

…と、そんな取り組みもして、一般的な株主の制度に置き換えて運用しています。

②株主には「株主証」が送られる

そして、「投資(寄付)」をしてくださったすべての方に対して、「特別町民証」と、「株主証」を全員に発行しています。(全員ってのがすごい)こちらが、株主証。ちなみにこの株主証、町内で使えるユニバーサルカード「HUC」になっているため、町内でのお買い物にも使えます。

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「楽天」や「ふるさとチョイス」などのふるさと納税サイトの東川町のページでは、とくにそうした言葉遣いが全面に出されることはありません。でも、どのサイトから寄附をしてくだった方も、私たちは一律に「株主」と呼びます。

こうしたサイトから、何も知らず一般的な「ふるさと納税」だと思い東川町に寄付をした方も、私たちは「株主」と呼び、「特別町民証」と「株主証」を発行します。

なので正直な話をしてしまうと、「私、”株主”になった覚えないんですけど…なんか送られてきたんですけど…(なんか追加でお金とられるんじゃないか…)」みたいなこともあります(笑)。でももちろん、お金を追加でとることはありませんので、ご安心ください。

③どの事業にお金を使うか、「投資先」を選べる

個々の投資を「どの事業に投資するか」ということを選択することも可能です。今は多くの自治体で、そうした事業の選択肢を持つことが増えてきましたが、東川町は2008年のふるさと納税スタート当初からこの方針をとっていました。下は、現在の事業の一覧です。

ひがしかわ株主制度-東川町のまちづくりに参加しませんか

ふるさと納税で集まったお金は、「教育」とか「福祉」とか、市町村ごとに条例で設定できるのですが、それを、いちばんはじめから「事業」にまで落とし込んで、あえて限定していた。

さらにこの投資事業も、「東川町内だけに恩恵を受ける事業」ではなく、文化や福祉、環境、スポーツなど、日本全体に還元されるような事業に設定されています。

いただいたお金を、投資してくれた人やその周囲に、きちん還元しようという姿勢が読み取れるんですよね。制度開始当初からの役場の意思として、「投資」をしてくださる方々に対しての誠実さを感じます。

④実際に町に来たときに優遇を受けられる

そして、この部分に魅力を感じてくださる方も多いのですが、株主が東川町に来てくれたときに、いろんな優待を受けることが可能です。

いちばん大きな優待は、「ふるさと交流センター」という町の宿泊施設に、投資日から1年間の間、2泊無料で泊まれるということ。シンプルな宿泊施設ですが、町の中心地にあり、泊まるには十分。

さきほど「株主証がHUCという町内利用ができるユニバーサルカード」と記載しましたが、いろんな部分で「株主」になった人が、東川町に来てくれることを想定しながら制度設計されているのです。「はー、なるほどなあ~~~」って感じです。とってもおもしろい。

そのほか、宿泊施設が安くなる優遇もありますので、こちらは参考程度に。

いちばん大事な想いの話。なぜ「株主制度」になったのか

いろいろ話しましたが、ここからがいちばん大切な部分です。「テストに出ます!」って言いたくなるところです。

ふるさと納税って、「この返礼品が欲しいから」という寄附の仕方になることが多いと思います。ふるさと納税したことがある方でも「どのまちに投資したか覚えていますか?」と聞かれると、「うーん…どこだっけ」となる人も多いんじゃないでしょうか(みなさん、どうですか?)。東川町は、お金を寄附してもらって返礼品を返して、それでおしまい、ということをしたくなかった。

じつはこの発想、「写真の町」が起源なんです。「写真の町宣言」には、こう記されています。

「自然」と「人」、「人」と「文化」、「人」と「人」それぞれの出会いの中に感動が生まれます。

当時この「株主制度」を担当していた方にお話を聞きいてみたところ、「ふるさと納税」をスタートさせるときに、この宣言文がさまざまな町の事業の、考えの軸になるとしたら、宣言文の「人」にどう出会えるかがとても重要だ、と考えられたそうです。そしていろんな検討をするなかで、この「株主」の関係性に行き着いたということです。

そもそも役場のいち職員が、「ふるさと納税の制度を、そのまま使うのが東川にとって良いことなのか?」という問いを立てたことに衝撃じゃないですか…?でも、この町に来てわかってきたのですが、それが東川町役場のパワーなんですよね。そういう「問う」力を持っている人が、やっぱりこの町には何人もいる。

この話もしっかり語りたいのですが、どんどん話がそれるので(笑)、株主の話に戻しましょう。

そもそも、ふるさと納税は「思いのあるふるさとを応援する仕組み」。寄付をして返礼品をもらうだけの仕組みは東川町らくしくない、と考えました。東川町は、写真の町宣言の前から人と人の繋がりを大切にしてきた町だから、応援してくれる方と永く関りを持たせて頂きたい。そういう思いで、企業には企業の成長と繁栄を応援する株主がいるように、東川町にも東川町の成長と繁栄を応援し、共に町づくりに協力してくれる株主がいて欲しいという思いから株主制度となりました。

そして「写真の町」に立ち返ったときに、まちが成長する喜びを共に感じてもらえる仕組みをつくろうと考えた。それが東川町にとってはまちの価値の向上につながり、参加者側には感謝や感動の提供につながる。その循環がきっとイメージできる感覚をもっていたのだと思います。「写真の町」は、こんなところにも根付いている。

「この制度、とてもいいですね」と言われることが多いのですが、運用する側って人的にもお金にも、コストがたくさんかかります。本来やらなくても成立するものですからね。

だから、根底に流れる「想い」がないと、ぜったいに続かない。私自身も、こちらに来たすぐは、「こういうことを、ほかの自治体もやったらいいのに」と思いましたが、「制度」を入り口にやろうとしても、できない仕組みだと、半年ほど仕事に携わり感じています。

ちょっと長くなりましたが、東川町の独自の制度、「ひがしかわ株主制度」をご紹介させていただきました。”ふつう”じゃない、とタイトルに書きましたが、一般的に”ふつう”ではないこういう取り組みが、”東川のふつう”なのかもしれません。「おもしろいなー、いい取り組みだなー」と、興味持ってくださったら、ぜひ今年のふるさと納税は東川町にお願いします!(営業!)

サイトもリニューアルしましたので、こちらからどうぞ。

それでは、次の投稿も東川町のことを知ってもらえるよう、頑張ります~!

#ふるさと納税
#東川町

ありがとうございます!
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北海道最高峰の旭岳を有する人口約8300人の町、東川町。1985年に「写真の町」宣言、2014年には「写真文化首都」を宣言ました。写真文化の中心地として、「世界中の写真、人々、そして笑顔に溢れる町づくり」に取組んでいます。道唯一の、地下水を生活水として利用する町でもあります。

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