「タナモノ」メーカーにしかできないこと:Higashikawa Makers #01 大雪木工
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「タナモノ」メーカーにしかできないこと:Higashikawa Makers #01 大雪木工

Higashikawa Makers:
写真の町・北海道東川町で、思いを形にする方々のストーリーを発信する記事シリーズ。こちらで紹介する家具や食べ物、雑貨たちは、ひがしかわ株主制度(ふるさと納税)特設サイトに掲載をしております。

変わりゆくものと、受け継がれるもの

突然ですが、家具業界にはアシモノとハコモノという用語があります。
椅子やテーブルなど脚がついているものを「アシモノ(脚物)」、それ以外の箪笥やチェストなどを「ハコモノ(箱物)」と呼ぶそうなのです。

家具を作る工房・工場はどちらか一方を得意とする場合が多く、導入されている機械も異なります。大雪木工は1983年の創業以来、箱物、つまり箪笥やチェストを得意としてきたメーカーですが、箱づくりの技術を活かして、なんと約500種類にも及ぶ商品を制作しています。

2015年から取り組んでいる「大雪の大切プロジェクト」では、デザイナーの小泉誠氏を中心とするプロジェクトチームを結成し、社員が一丸となってこれからのモノづくりを考える時間を作ってきました。その結果、大雪木工らしいユニークな商品が次々と生まれています。

時代と共に変化を続ける大雪木工のモノづくりについて、大雪木工社長の長谷川将慶さん、常務取締役の長谷川貴充さんにお話を伺いました。

大雪_ノールリス (2)

                       Dining chair〈Nordlys〉

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タナモノ

1983年創業の大雪木工。当初は茶箪笥が主力製品でした。茶箪笥は和箪笥、カップボードとも呼ばれ、昔ながらの日本の住宅の中で、家族が食卓を囲む茶の間に置かれていた庶民的な家具です。引き戸の中にはグラスや湯呑みが収納されていて、食後にテレビを見ながらお茶をズズっとすするのが日常的な生活風景でした。

旭川は、元々箪笥の生産が盛んな場所。箪笥は嫁入り道具にもなるくらい、木目の揃ったいい材料を使って作られる高級品でした。

と、いうことは。
いい部分を切り取った木材からは、その分、やや質の劣る端材が出ます。

80年代初期当時の業界ではまだ新参者だった大雪木工は、この残りの部分を利用して、茶箪笥を作り始めたというわけです。
端材利用のこの箪笥は、パーフェクトな材料を使用する箱物への敬意を込めて、「棚物(タナモノ)」と区別しています。大雪木工では早くから大型機械を積極的に導入し、価格を抑えた棚物家具を大量生産していました。

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要らないものはタダでも要らない

やがて日本の住宅と人々の生活様式は西洋化が進み、90年代後半になると、それまでのとにかくつくるやり方を大きく見直さなくてはいけないという気運が社内でも生まれてきました。2000年(平成12年)に将慶さんが父親から事業を引き継ぎ、改革を具体的に進めていくことになります。


「今は要らないものはタダでも要らない時代です。父親の頃と比較すると、そこが一番大きな変化かなと思います。そして細かく見れば同じ時代でもマーケットのニーズは様々に変化しています。その中で、自分たちができることは何かを常に考え続けています。」

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棚物メーカーが作る椅子

箱物や棚物は、基本的に直線的な材料を組み合わせて作られます。
対して椅子などの脚物は曲線的な加工が必要になるため、その技術を持つ脚物メーカーに競争力がありました。しかし、そこに挑戦していったのが大雪木工!


「棚物づくりの技術や設備を活かして他の家具を作っているといえば美談ですが、実際は限られた環境で自分たちにできることをやってきたという、自然な流れでした。でも棚物メーカーにしか作れないオリジナルの椅子や家具があるという思いは強く、これからも自分たちにしかできないアイデアを提案していきたいと考えています。」


棚物メーカーとして大雪木工が培ってきた技術の1つに、家具の生産工程の、突板貼りという作業があります。突板とは、木を0.2mm~0.6mmに薄ーくスライスしたシートのような部材で、これを芯材になる合板などの材料に貼る作業のこと。0.2mmというと、お好み焼きにかける鰹節くらいの薄さ!木を削って、貼る。自社でこの作業をできるのが大雪木工の強みのひとつで、これによって、価格・品質・実用性のよいバランスを実現しているのです。

大雪_ノールリス (3)

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大雪の大切プロジェクト

冒頭にも登場した、「大雪の大切プロジェクト」。大雪木工らしさ、できることとできないこと、いつも身近にあるもの、そうした日常では意識して気に留めない事柄ひとつひとつを丁寧にすくい上げて、考える時間です。商品開発は多くの会社で行われていますが、それをひとつのプロジェクトとして捉え、実施しているところに大雪木工のユニークさが垣間見えます。
そして、その過程で得たものを最終的に家具という形で表現するのが、面白い!デザイナーの小泉誠氏をはじめ、社外のメンバーも加わり、爽やかに未来のモノづくりを見つめる大雪木工、なんてすてきなんだろう。

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note編集者的すてきポイント

大雪木工さんの椅子「Dining chair〈Nordlys〉」は、町の複合施設せんとぴゅあⅡでご自由にお座りいただける椅子として、芝生側に配置されています。(クラフトとの距離が近いのも、東川のいいところ!)肌触りの良いさらさらとした木質。おむすび形で少し後傾している座面は、おしりと背中がすっぽり収まる安心感。個人的に、購入を真剣に考えています。本当に。


31.大雪木工

【大雪木工】

1983年に開業した、2ヘクタール(100m×200m)もの広い敷地を持つ、旭川家具メーカーの中でも屈指の大きさを持つ家具工場。自然に恵まれた大雪山の麓で木製品の製造販売を行うことを目指して「大雪木工」という名前を冠している。北海道産材を使った家具を積極的に製作。「モノ」をつくりつづけていくために大切な「コト」を探求し続け、家具という「カタチ」で表現していくという、「大雪の大切プロジェクト」にも取り組んでいる。

住所: 北海道上川郡東川町北町4丁目13-2
電話: 0166-82-2900
公式HP:http://www.taisetsu-mokko.co.jp/


取材・構成・執筆:初瀬川 晃
note編集:大内 美優(地域おこし協力隊)


ありがとうございます!
北海道最高峰の旭岳を有する人口約8300人の町、東川町。1985年に「写真の町」宣言、2014年には「写真文化首都」を宣言ました。写真文化の中心地として、「世界中の写真、人々、そして笑顔に溢れる町づくり」に取組んでいます。道唯一の、地下水を生活水として利用する町でもあります。